形式にとらわれずに自分らしい葬儀を行いたい場合、生きているうちに、自分で葬儀内容を決めてしまうという方法があります。大切なのは、決めた内容をきちんと記述して、家族などに確実に伝えるということです。ノートでもかまいませんし、パソコンなどで作成したものでもいいでしょう。
最近では、葬儀の方法や終末期のことについて元気なうちに書き込むための「エンディングノート」が市販されているので、こうしたものを利用する方法もあります。
自分なりの葬儀の案ができたら、家族を交えて相談し、しっかりと理解を得ておくことが大切です。たとえば、「葬儀は家族だけで行う」という場合には、親戚などにも了解を得ておかなければなりません。「無宗教葬にする」場合にも、檀那寺に遺骨を埋葬できるかどうかという問題があります
実際に葬儀を行うのは残された家族なのですから、あとあと面倒なことにならないように、準備は念入りに行いましょう。
目次
葬儀のデザイン
まず、どのようなスタイルで葬儀を行うかを決めます。宗教儀礼としての葬儀を行うなら、どの宗教のどの宗派の方式で行うのか。実家の宗旨と異なる場合には、特に注意が必要です。
「無宗教葬」の場合には、決められた方法がないので、どのような内容で行いたいのかを、できるだけ詳しく決めておく必要があります。
家族だけで葬儀を行う「家族葬」の場(日には、親戚や友人・知人、仕事関係の人々への対応をどのようにするのかを明確にします。場合によっては自分で連絡しておかなければなりません。
自分の希望の葬儀を記録しておく時に、パソコンで資料を作成するときれいで見やすくなります。しかし、資料を保存するときにパソコン内に保存しておくといざというときに見当たらなかったり、間違えて消去してしまったり、他人に改ざんされてしまう恐れもありますので注意が必要です。
自分で葬儀をデザインするポイント
喪主の依頼
配偶者や子供など、自分と最も血縁関係のつながりが深い人を選ぶのが一般的です。どうしてもお願いしたいという人がいれば、知人・友人などから選んでも構いません。その場合には、本人にも連絡をしてお願いしておきましょう。
葬儀の場所
自宅か葬儀場で行うのが一般的です。最近ではお別れ会にホテルを利用するケースもあります。
祭壇のデザイン
葬儀費用に大きなウェイトをしめる祭壇も出来るだけ自分で選んでおきましょう。
遺影
自分らしさが出ている写真を選びましょう。大きく引き伸ばした際に荒くならないように、画質にもこだわることが大切です。遺影用に新しく撮影するのも良いでしょう。
棺に入れるもの
お気に入りの書籍や好きだった品物などの棺に入れてほしいものを決めておきましょう。
弔辞の人選、参列者の人選
葬儀に参列してほしい人、弔辞を述べてもらいたい人などを決めておきましょう。後々の問題にならないように人選に気を配りましょう。
音楽
無宗教葬の場合は、葬儀中に好きな音楽をかけることが出来ますので、お気に入りの曲を決めておくのもよいでしょう。
葬儀社の選択
葬儀のスタイルが決まったら、依頼する葬儀社についての検討を行います。インター不ットで調べたり資料を取り寄せるなどして、白分か望むスタイルの葬儀を行ってくれそうな葬儀社をピックアップします。可能であれば見積もりを取って比較してもいいでしょう。
自分でデザインする葬儀ですから、費用も自分で用意しておきたいものです。葬儀費用は200万~300万円程度が目安といえるでしょう。
現金で用意しておくのは不用心ですが、本人名義の口座は、死後、一時凍結されてしまうので注意です。その点、便利なのは保険です。
自分でデザインした葬儀を確実に実行するためには、家族に葬儀内容をしっかり説明しておかなければなりません。また、葬儀社とあらかじめ生前契約や生前予約をしておくという方法もあります。
生前契約にはいくつかの方法がありますので葬儀内容や費用などの契約内容を具体的に話し合うことが大切です。
葬儀の生前契約について
葬儀社との生前契約のケ-ス
民間の葬儀社との生前契約の場合、まず、具体的な葬儀の内容と費用について話し合い、契約書を交わします。その際には必ず、本人の死後の緊急連絡人などを決めておきます。葬儀費用の支払いには、一括前払いのほか、生命保険や信託が利用されることが多いようです。契約者が死亡した場合には、契約に基づいた葬儀が営まれます。
NPO法人を利用するケース
NPO法人「日本生前契約等決済機構」によるサービスを利用するのも方法です。このシステムの特徴は、希望通りの葬儀を行うという「委任契約」を結び、それを「公正証書」にしていることです。法的に保証されているため、確実に実行してもらえます。葬儀にかかる費用は生命保険や信託などを利用します。また、申込金や維持会費などが必要です。
葬儀費用が即時払いされる商品
郵便局の簡易保険は、保険証書、保険料領収書、死亡診断書、除籍謄本などがあれば、窓口で即時支払いをしてくれます。生命保険会社の中には、葬儀費用の支払いなどに充てるための「保険金即日支払いサービス」を行っているところもあります。このほか、信託銀行にも「葬儀費用信託」などの商品があります。
生前予約と生前契約の違いとは
現在の葬儀業界で「生前予約」と「生前契約」の内容とが多いので注意力にが必要です。一般に「予約」というと「契約」より厳格ではない印象を受けますが、実際には解約する場合に違約金や手数料が必要なことも少なくありません。その業者が使う「予約」という言葉がどのような内容なのかをきちんと確認することが大切です。
生前契約のチェックポイント
- 解約が可能か…契約の解約が可能かどうか。可能な場合には手数料や違約金がどうなっているか。
- 見直しが可能か…契約(葬儀)の内容を変えたいと思ったときに変更が可能かどうか。その際の手数料はいくらかかるか。
- 費用の支払いに問題はないか…支払いに利用する金融商品は元本が保証されているか。保険会社や信託銀行が破綻した場合の保全システムはどうなっているか。
- 会社自体の信頼性…契約会社が信頼できるかどうか。会社が破綻したときの補償はどうなっているか。