仏教を家の宗教としている人の数は多く、非常になじみ深い宗教だともいえます。
「自分の家の宗教を特に意識したことがない」という人でも、「調べてみたら仏教だった」というケースは比較的多いものです。
ここでは、仏教の死生観と葬儀の特徴について見ていきます。
目次
<仏教における極楽と地獄>
さまざまな宗教では、「死後、善き人がいく場所」と「そうではなかった人が行く場所」の概念があります。仏教も例外ではありません。
仏教では、「極楽」と「八熱地獄・八寒地獄」があります。地獄の方がバリエーションに富んでいるのも、ほかの多くの宗教との共通点といえるでしょう。刃物で体を刻まれたり、火責めにあったりとその責めはさまざまです。
対して、「極楽」は、満ち足りた世界です。お互いを思いやり、おいしいものを食べて平和に過ごすことができると言われています。
ただ、「仏教」と一口にいっても、その宗派はさまざまです。特に日本では、「在来仏教」として13の宗派があり、それによって死生観が異なります。特に浄土真宗や浄土宗などでは、現世における過ごし方だけでなく、死後の世界での救いを強調しています。
浄土真宗では、「南無阿弥陀仏の念仏を唱えるだけで、人は浄土に行くことができる。浄土で修行を積めば、今生での生き方がどうあれ、極楽にいけるのだ」と考えます。
これは、今よりもずっと階級制が厳しかった時代、「殺生をした人間が救われないのだとすれば、生きるために動物を狩ったり魚をとったりした人間は、死後の世界でも救われないのか」という苦しみを持つ人もいたと考えられます。そのため、それの救いとしての思想だったと考えられます。
亡くなった方は、四十九日をかけて冥途を旅して、仏さまの元に向かいます。
ちなみに、「ご冥福をお祈りします」という言葉は、「故人の冥途の旅が無事に終わって、死後が幸せであることをお祈りします」という意味のある言葉です。このため、キリスト教や浄土真宗では使わないという考え方が一般的です。もっともこのあたりに関しては、「それほど気にしなくてもよいのではないのだろうか」と考える人もいます。
<仏教の葬式の流れ>
仏教の葬式は、だいたい以下のような流れを取ります。
【通夜の前】
- 葬儀会社に電話する
- 自宅などに故人をお連れして、枕飾りを行う
- 枕勤め(枕経ともいう)を挙げる
- 葬儀に関係する密な打ち合わせをする。
- 納棺を行う
よく耳にする「北枕」は、3のタイミングなどで行われます。お釈迦さまが涅槃のときにこの姿勢をとったことが由来とされるものであり、厳密には仏教独自の風習です。ただ、現在は神式での葬送儀礼のときにもこのやり方がよくとられています。また、部屋の間取り的に北枕にすることが難しい場合は、このやり方をとらないこともあります。
【通夜】
- 受付を開始する(遺族は先に着席していることも多い)
- 開場~僧侶入場~開式
- 読経と焼香
- 説法
- 僧侶退場
- 喪主あいさつ、閉式
- 通夜ぶるまい
読経と焼香のタイミングは、葬儀会社によって異なります。ただ、「読経をしている最中に案内があって、順次焼香していく」というパターンが比較的よく見られるやり方です。なお、焼香の順番は、喪主→遺族→親族→一般弔問客 で、これはどんな場合も変わりありません。
喪主の立場の人がどうしてもあいさつができない状態であればほかの人があいさつを行うこともありますが、基本的には喪主が会葬者へのお礼などを述べることで通夜はひと段落します。喪主もしくは葬儀会社のスタッフが、翌日の葬儀の案内を行うこともあります。
通夜ぶるまいは、仏教では特によく見られる風習です。キリスト教のときとは異なり、お酒などが振る舞われるケースが大半です。
【葬儀】
葬儀も、基本的には通夜のときと同じです。ただ、ここに「弔電紹介」が入ります。また、6の後に「火葬場への出発」という流れが汲みこまれます。
これは霊柩車に棺を乗せ、助手席に遺影を持った人が乗り込んで火葬場へ向かうものです(後部座席などに、骨壺などを持った人が乗り込めるようになっている車もあります)。
葬儀会場から火葬場へ向かうこの工程を、一般に「出棺」と呼びます。
一般の弔問客はこの出棺を見送って解散ですが、遺族や、また遺族(もしくは故人)に特にと言われた人などは、火葬場にも同行します。
火葬が終わったらいったん戻ってきて、繰り上げ初七日法要や精進落としの料理が振る舞われるのが一般的です。
<仏教の葬式のマナー>
仏教の葬儀の場合、「ご冥福をお祈りします」「成仏」「供養」などの、比較的よく聞かれる葬式用語はすべて使えます。不祝儀袋も「御香奠」を選べばよく、水引も黒白あるいは双銀のもので構わないため、ほかの宗教に比べれば「この宗教だからこそ意識しなければならないマナー」はそれほど多くはありません。不祝儀袋を手に入れることも難しくはないでしょう。
ただ、仏教でも重ね言葉は使ってはいけません。また、「四十九日法要」はありますが、数字の四や九は、仏教でも避けるべき数字です。
https://sohshiki.jp/blog/manners/207.html
http://www.osohshiki.jp/column/article/107/
https://en-park.net/words/2760
https://sougi.minrevi.jp/nagare/cnt/i_1645.html
https://data.urban-funes.com/columns/religion-another-funerals-5-kinds/
https://www.shoukyouji.or.jp/knowledge/death/
https://syukatsulabo.jp/article/41