すでに埋葬されている遺骨を、現在のお墓から別のお墓に移すことを「改葬」といいます。改葬は、遠く離れた郷里にある先祖代々の墓を、現在の住まいの近くに移したいという場合に行われます。
また、夫婦それぞれの親の「家墓」を「両家墓」としてひとつにまとめるケースでも、少なくともどちらか一方の墓を改葬しなければなりません。
改葬するためには、改葬先のお墓が必要です。新しくお墓を建てる場合はもちろんですが、両家墓のケースのように、ふたつあるお墓をひとつにする場合にも、宗教や宗派の問題はないか、改葬先のお墓に遺骨がすべて納められるか、などの確認が必要です。
改葬先が決まったら、現在使用している墓地からは改葬の許可を得て「埋葬証明書」を発行してもらいます。公営墓地や民営墓地の場合は管理事務所に、寺院墓地の場合は住職に申し出ます。それと同時に、改葬先の墓地の管理者からは、受け入れ証明書(または永代使用承諾書など)を発行してもらいます。
改葬には「墓埋法」に基づいた法的な手続きが必要です。現墓地のある市区町村の役所で「改葬許可申請書」をもらい、必要事項を記入し、現墓地の管理者に署名押印をしてもらいます(埋葬証明書で代用できる場合もあります)。
これを「受け入れ証明書(永代使用承諾書)」とともに、再び役所に提出して、「改葬許可証」を受け取り、これを改葬先の墓地の管理者に提出します。
事務手続が終わったら、いよいよ改葬です。改葬の日程は、遺骨の移動等を行う石材店と、法事を行う僧侶に相談して決定します。
まず最初に、僧侶によって現在のお墓の「閉眼供養(御魂抜き)」の儀式が行われます。これは墓石から仏心を抜く儀式です。 次に、お墓から遺骨を取り出し、骨壷に入れたまま移動して、改葬先に運びます。改葬先では新しいお墓の「開眼法要」を行い、移動した遺骨を埋葬します。
遺骨を取り出した墓地は、墓石を撤去して更地に戻します。こうした実務は石材店にお願いすることになります。
お墓の改装の手順
- 改葬先(新しい墓地など)を確保する
- 改葬先から「受け入れ証明書」を発行してもらう。
- 現墓地から「埋葬証明書」を発行してもらう。
- 自治体にある「改葬許可申請書」に記入して、「受け入れ証明書」、「埋葬証明書」とともに役所に提出して「改葬許可証」を受け取る。
- 改葬先に「改葬許可証」を提出する。
- 現墓地で「閉眼供養」を行い、遺骨を取り出す。
- 改葬先墓地で「開眼法要」を行い、遺骨を納骨する。
- 旧墓地を更地に戻す。