仏壇には「位牌」が納められているため、先祖を祀るためのものと思われがちですが、実はそうではありません。仏壇は家庭における「小さなお寺」といえます。したがって主役はあくまでも「本尊」で、位牌はかたわらに置かせていただくのです。
なお、仏壇に位牌を祀るのは、亡くなった人はすべて仏になる(成仏する)という仏教の考え方によるものです。
仏壇の中心にあり、本尊を安置する場所を「須弥壇」といい、ここは聖域とされています。須弥壇は、仏教の世界の中心にそびえ立ち、仏様が住むという須弥山を表しています。
本尊は、菩提寺の宗派に合わせて選びます。姿のある仏像か掛軸のどちらかを祀るのが一般的で、掛軸には仏の描かれた絵像や名号(「南無阿彌陀佛」の文字)などがあります。
仏壇には本尊のほか、両脇仏、位牌、過去帳(先祖の仏名、命日、俗名などが書かれている)、供物のための仏具、読経や礼拝のための仏具が置かれます。
仏壇の歴史
日本書紀にれば仏壇の歴史は天武天皇の時代まで遡るそうです。鎌倉時代には庶民の階級にまで広がり江戸時代に入ると幕府のキリシタン禁制によって檀家制度が誕生し各家に仏壇が安置されるようになりました。現在も多くの家に仏壇がありますが、宗教的な祭壇というよりも、先祖を祀るという意味合いか強いようです。