死亡後は、お葬式のスタイルやお願いする葬儀会社、喪主など、本当に決めなくてはならないことがたくさんあります。精神的に動揺している時期ではありますが、落ち着いて遺族とよく話し合って決めましょう。
目次
お葬式をどのような形式で行うかを決めます
葬儀の形式には、大きく分けて「宗教葬」「無宗教葬」のふたつがあります。宗教葬には仏式、神式、キリスト教式などがあり、また、宗派によってしきたりなどが異なります。
どの形式で行うかは、故人が生前に信仰していた宗教・宗派に合わせるのが一般的です。もし故人に特に決まった宗教がない(あるいはわからない)場合には、家族(生家や嫁ぎ先)の宗教に合わせることが多いようです。
しかし、次のような場合には注意が必要です。たとえば仏教徒の家族の中で故人だけがキリスト教徒というようなケースでは、故人の遺志を尊重するのであれば、お葬式はキリスト教式で行うのが筋です。
ところが、菩提寺(檀那寺)に先祖代々の墓があってそこに故人の遺骨を納骨しようとする場合、仏式の葬儀をあげていないと断られるケースもあります(これは無宗教葬をあげる場合も同様です)。
このような場合には、お通夜・お葬式をキリスト教式(または無宗教)で行い、告別式を仏式で行うなどの方法がありますが、あとで問題にならないように、前もって菩提寺に相談するとよいでしょう。
お葬式は亡くなられた方だけのものではなく、残された遺族の心のけじめにも必要なものです。先々の納骨・法要・墓参りなど、後々のことまで配慮して決めることが大切です。
お葬式を取り仕切る葬儀社を決めます
葬儀社の選択は慎重に行わなければなりません。あとになってから費用やサービス内容などについてもめることがないよう、また、故人を気持ちよく見送るためにも、信頼できる葬儀社を選びたいものです。
葬儀社選びで一番大切なのは、慌てないことです。お葬式までに残された時間は限られていますから、できるだけ早く選ぶ必要があります。しかし、あまり焦って決めてしまうと、あとで後悔することにもなりかねません。
たとえば、遺体の搬送をしてもらった病院出入りの葬儀社に、そのままお葬式まで依頼できるケースがありますが、必ず依頼しなければならないというわけではありません。次に挙げる選択ポイントを参考にチェックしましょう。
【葬儀社選びのポイント】
- 対応がていねいで誠実…担当者の対応でチェックします。乱暴な対応や口のきき方をする業者は避けたほうが無難です。
- こちらの要望を聞いてくれる…こちらの話を聞かずに、高額な祭壇や不必要なサービスなどを押しつけてくるような業者は注意したほうがいいでしょう。
- 費用の詳細な説明がある…何にいくらかかるかなどを、きちんと料金提示しながら詳しく説明をしてくれることが大切です。
- 会社の規模や資格等…規模が大きければいいというわけではありませんが、最低限、自前の店舗を構えている業者のほうが無難です。全葬連に加盟していることや、社員に葬祭ディレクターの有資格者がいるかどうかも、優良業者としてのひとつの目安にはなるでしょう。
喪主やお通夜・お葬式の日程を決めます
葬儀を主催し、遺族を代表して弔問を受ける人を「喪主」といいます。葬儀当日だけではなく僧侶や葬儀社との打ち合わせや、年忌法要なども喪主の務めです。
通常、喪主は故人ともっとも縁の深い人が務めます。残された配偶者、子供(男性)、子供(女性)、という順序で選ぶのが一般的ですが、個人と親しかった友人を喪主とすることもあります。なお、喪主は遅くともお通夜の前までには決定しておかなければなりません。
ただし、喪主を務める人が、高齢者・病気で療養中の方・未成年・幼児などにあたる場合は避けた方が良いでしょう。
葬儀の日程は一般的には下の表のようになっています。ところが必ずしもこの通りに運ぶわけではありません。僧侶の都合、火葬場や斎場の混雑ぐあいなど、さまざまな条件が絡み合ってくるからです。
近年、特に都市部では火葬場や斎場が混雑しているため、何日も待たされることが少なくありませんから、まずはこれらの予約を最優先して行うことが重要です。そして、予約のとれた時間をもとに、出棺の時間やお葬式の開始時間を決めましょう。
また、故人の親族が遠方に住んでいる場合などは、お葬式自体を何日か遅らせなければならないこともあります。このようなケースでは、遺体が傷まないよう棺にドライアイスを入れたりエンバーミングをするなどの工夫が必要です。
お葬式の世話役代表を選ぶ
喪主の補佐役として葬儀全般の実務を仕切るのが「世話役」です。世話役には「会計係」、「受付係」、「進行係」、「車両係」など、いくつかの「係」があり、その中心となるのが「世話役代表」です。
世話役代表はお葬式のの実務上の責任者とも言える重要な役割です。葬儀社と打ち合わせを行ったり、世話役の指揮をとるので、故人や遺族の事情について詳しく、細かな心配りができ、信頼のおける人であることが大切です。
葬儀の知識や経験が豊かな人が最適で、通常は故人の友人、故人の子どもの友人、または故人の兄弟姉妹や配偶者の兄弟姉妹などの血縁者や親戚などから選びます。