個々の葬儀に対する価値観の変化
最近、伝統的なスタイルの葬儀は減少する傾向にあります。特に都心部においては、自分の葬儀を「形式にとらわれないで行ってほしい」という意見が半数近くを占め、従来のような、伝統的な葬儀を望む声を大きく上回っています。
また、葬儀の印象については「形式的になりすぎている」といった意見が半数を占め、葬儀を行う場所については、斎場などの葬儀専門の式場で行うことを望んでいるようです。このように、葬儀観が変化してきた背景には、核家族化やライフスタイルの変化にともなって地域とのつながりが薄くなってきたことなどが挙げられています。
また、実際に葬儀を行う方法についても変化が起こっています。特に都心部では、身内だけで通夜・葬儀を行う「家族葬」(密葬)が増えてきています。新しい葬送方式として、特定の宗教にこだわらない「無宗教葬」や生前に葬儀を行う「生前葬」なども登場も増えています。遺骨の取り扱いについても、海などに散骨する「自然葬」などが注目されています。
葬儀サービスが充実してきています
このような葬儀観の変化にともなって、葬儀社のサービスも充実してきています。葬儀社によっては、葬儀の事前相談を行ったり、葬儀の生前予約なども一般的になりつつあります。また、インターネットでホームページを持つ葬儀会社が増加しており、葬儀の見積もりや依頼がパソコン上で可能になっています。
自分の為に葬儀を準備する人たち
たとえ家族が故人の意思を尊重したいと考えていたとしても、その希望をしっかりと伝えておかなければ、その意思は反映されません。東京都が実施したアンケート調査によると、葬儀の準備をしている人は、30代以上では年代が高くなるほど増え、その準備内容については、主に葬儀費用に関するものでした。
ところがこの中で注目すべきことは、「家族に葬儀の話をしている」と答えた人が4割以上いることです。葬儀は亡くなった人が行うのではなく、残された家族が行うものです。ですから、生前から具体的に準備をしていれば、万一のときにも家族がとまどわずにすみます。まさに葬儀は自分で準備をする時代になってきたといえるでしょう。