本来は葬儀と告別式は別々のものです。葬儀は遺族や近親者が故人の冥福を祈り、あの世に送るための儀式です。仏教的に言うと、故人に仏弟子となるための戒律(生活規律)を与える授戒と、極楽浄土へ導く引導を行います。
一方、告別式は友人や知人が焼香をして故人にお別れをする儀式で、葬儀が終了した後にあらためて営まれるものでした。まったく異なる意味を持った儀式であるため、葬儀が終わると僧侶はいったん下がり、告別式ではあらためて入場していました。しかし、最近では、よほど大規模な葬儀以外では、告別式も同時に行うのが一般的になっています。
目次
葬儀の進行
喪主・遺族の入場
遺族と親族は式が始まる15分くらい前までには入場し、着席して参列者を待ちます。式場係は記帳をすませた参列者を所定の席に案内します。
僧侶の入場
定刻になり参列者が着席したら、進行係は僧侶を式場へと誘導します。この際、参加者全員で頭を下げて迎え入れ(イス席の場合には、起立して一礼する)、僧侶が祭壇前に着座してから参加者は着席します。
僧侶による読経
僧侶による読経が行われます。読経の時間の目安は30~40分ほどで、参列者は正座して聞きます。宗派によって異なりますが、読経のなかで、授戒や引導などの葬送儀礼がとり行われます。たとえば真言宗では、引導の際に遺体の頭に水を注ぎかける「灌頂」という儀式を行うことがあります。
弔辞・弔電の披露
引導の後、司会者が「ただいまより弔辞を頂戴いたします」とあいさつをし、前もって依頼しておいた人が順に弔辞を述べます。人数は2~3人、時間はひとり2~3分程度が一般的です。弔辞に続いて、司会者によって弔電が奉読されます。2~3通ほど読み上げたら、残りは名前だけを紹介します。あまりに数が多い場合には名前を読み上げるのを省略することもあります。
読経・焼香
初めに僧侶が焼香を行います。引き続いて、僧侶の読経の中、喪主、遺族、親族が焼香を行います。
参列者の焼香
遺族と親族の焼香が終わると参列者の焼香となります。遺族と親族は、焼香の際に参列者に返礼をするために、通路側に向かって座り直しておきます。焼香の順番は、席次の順番にしたがっておこないますが、打ち合わせした通りになっているかどうか、確認をしましょう。当日になって突然、出席することになったり、逆に出席できなくなる人もいるからです。焼香をする人数が多い場合などには、司会者が焼香する順に名前を呼び上げることもあります。この場合にも、式が始まる前に必ず出欠を確認しておきます。
葬儀の終了
焼香が終わり、僧侶が退場したら、司会者のあいさつで葬儀が終了します。ここで喪主か親族代表があいさつすることもありますが、通常は出棺直前に行います。