人間は自分ひとりだけで生まれてこられないように、死ぬときもまた、必ず誰かのお世話になります。できるだけ自分の理想に近い最期を迎えるためには、元気なうちに「どのように老い、どのように死にたいのか」をよく考えておかなければなりません。
また、いずれも、問題が発生したときには本人が判断能力を失っていることが多いため、家族に対してきちんと意思表示をしておくことが大切です。最近では、「エンディングノート」を作り、そこに記載しておく方法が増えています。気をつけなければならないのは、エンディングノートはあくまでも家族へのメッセージ帳のようなものです。法的な拘束力はありませんので、遺産相続についての遺言は別に作成します。
任意後見制度について
成年後見制度は、痴呆などによって判断能力が衰えた人について、契約の締結などを代わって行う「後見人」を選任したり、本人が誤って結んだ契約を取り消すことができる制度です。かつては「禁治産制度」などと呼ばれていましたが、より利用しやすい制度内容に改正されました。
成年後見制度には、すでに判断能力のない人に対する「法定後見制度」のほか、「任意後見制度」があります。「任意後見制度」は、本人の判断力がしっかりとしているうちに、「誰を後見人にするのか」、「どのような権限を与えるのか」などを、自らの意思で決定することができます。なお、任意後見契約は必ず「公正証書」で作成しなければなりません。
任意後見人は、家族や信頼できる親族などを選ぶのが一般的ですが、司法書士などの法律関係の専門家や福祉の専門家、あるいは法人でもかまいません。ただし、親族以外の場合には報酬(通常は月額2~3万円前後)を支払います。
任意後見契約の契約と費用
後見契約は法律に則った契約書である「公正証書」で締結します。公正証書は公証人役場に出向いていて公証人の立ち合いのもとで作成します。公証人に役場は全国に約300箇所ありますが、公証人に病院や自宅に来てもらう事も可能です。
公正証書の契約に必要な書類
- 本人の戸籍謄本、住民票、印鑑登録証明書
- 任意後見受任者の住民票
- 公正証書作成手数料
- 登記費用
※契約にかかる費用は合計で2万円程度です。