通夜の弔問客のもてなし方
本来、通夜とは、家族や故人とごく親しかった人たちがひと晩中、故人との別れを惜しむための儀式でした。ところが最近の通夜は弔問客のための「夜の告別式」のような位置づけになりつつあります。それは、通夜は一般的に午後7時くらいから行われるため、仕事帰りに立ち寄ることができるからです。日中に行われる葬儀・告別式に出席するためには仕事を休まなければならないわけですから、それに比べると、通夜に出席したほうが都合がよいという事情もあるのでしょう。
もちろん、遺族にとっては通夜に来ていただく弔問客も、葬儀・告別式に来ていただく参列者も、もてなし方にかわりはありません。基本的に喪主や遺族は弔問客への応対はしません。出迎えも見送りもしないのが習わしです。すべての弔問客にあいさつをすることは無理ですし、特定の人だけにあいさつをするのでは、他の人に失礼なため、黙礼ですませてかまいません。弔問客への応対は、世話役にまかせるようにしましょう。
通夜ぶるまい
通夜では、式次第が終わったあとに弔問客を別室に案内してお酒や料理をふるまいます。これが「通夜ぶるまい」です。
通夜ぶるまいで出す料理は、最近では、仕出し料理や折詰めですませることが多くなっています。葬儀会社に依頼するときは通夜ぶるまいの料理は「セット料金」とは別になっていますが、葬儀社を通じて注文するのが一般的です。
そのため、あらかじめ、通夜ぶるまいに出席しそうな人数を予想して注文しなければなりません。通夜ぶるまいは、喪主から弔問客への感謝の気持ちを伝え、弔問客には故人を偲んでいただく場です。喪主や世話役は弔問客にお酒や料理を勧めたり、会話に参加しましょう。
ただし、宴席ではありませんからほどほどに。1時間を目処に切り上げるようにしましょう。通夜ぶるまいを終わらせるには、時間を見計らって喪主があいさつをします。場の雰囲気で喪主が切り出しにくいときには、世話役が代わって閉会を告げます。
通夜が終了してからが遺族にとっての本当の通夜です
通夜ぶるまいが終わって弔問客が帰ったら、世話役や通夜を手伝っていただいた近所の人たちをねぎらい、もてなします。通夜ぶるまいと同じように、お酒や食事をふるまうか、折詰めなどを持ち帰ってもらってもいいでしょう。後片付けをすませたら、喪主は世話役と翌日の葬儀・告別式についての打ち合わせを行います。その後、すべてが終了したら、喪主は世話役に「心づけ」を渡します。
世話役が帰って遺族だけになってからが本来の意味での通夜と言えます。故人のかたわらで、ゆっくりと別れを惜しみましょう。このときにはひと晩中、灯明と線香の火を絶やさずに、遺体を守る習わしがあります。これを「夜伽」ともいいます。
ただし、危篤から臨終、お通夜までずっと立ち会ってきた遺族は、体力的にも精神的にも疲労しています。翌日には葬儀が控えていますから、あまり無理をせずに休んでかまいません。夜伽は若い人が引き受けて、喪主には早めに休んでもらうように気を配りましょう。